最高裁判所の付属機関である研修所。来所者に緊張感と同時にリラックス感を与えられるよう、アートワークを考案・配置しました。
施設には研修棟、食堂や広場のある厚生棟、日常生活の場となる宿泊棟などがあり、各要所にアートワークを配置。研修棟から宿泊棟へと向かう空間には、快活なイメージのアートベンチを展開。利用者が座ってリラックスしたり、交流したりするばかりでなく、視覚的にも彩りを与え、リズム感良く点在させることによって、歩く楽しみをもたらす。緊張感を持った研修棟から宿泊棟の生活的なエリアへはリラックスできるような柔らかい形態で展開し、その形態が宿泊棟の中にも入り込むことによってメッセージを繋げていく。食堂では、壁面いっぱいに大空を表現し、どこまでも無限に続く自由と平等を象徴する。屋内の壁面にあえて「大空」を構成することで、透明感や聡明感、また空気感をあたえ空間により広がりもたらし、利用者の心を解き放つ。そして、エントランスからは一筋のラインが伸び、まっすぐに広場のモニュメントへと進んでいく。このモニュメントへと突き進むラインは、強い信念や高い志をあらわし、施設全体の緊張感を徐々に高めていくしかけとなる。
そして広場に現れたモニュメントは、座ることができる形態であり、人々が集い、異なった視点や見解と交わり、新たなエネルギーをうみだす。公正の作用点・平等、公平として、丸い形態とし、ラインは「分配」「肯定」「知識の交わり」をイメージしている。
Task プロジェクトの課題
裁判所職員総合研修所は、適正、迅速な裁判、国民に利用しやすく、わかりやすい裁判を実現するために、裁判官以外の裁判所の職員に対し、執務に必要な知識、技能・技法を習得させるとともに、人格や識見を向上させるための研修を行う施設。それまでの裁判所書記官研修所と家庭裁判所調査官研修所を統合し、2004年に総合研修所が建設された。施設には研修棟、食堂や広場のある厚生棟、日常生活の場となる宿泊棟などがあり、各要所にアートワークを配置することになった。
Solution アートプレイスの提案
施設の入り口からは一筋のラインが、来所者の緊張感を徐々に高めながら、まっすぐに広場のモニュメントへと進んでいく。
広場のモニュメントは、人々が集い、異なる視点や見解を交わし、新たなエネルギーが生まれる場となるよう、座ることができる造形にした。丸い形態は、公正の作用点・平等、公平を、ラインは分配、肯定、知識の交わりをイメージしている。
研修棟から宿泊棟へと向かう空間には、鮮やかなイメージのアートベンチを、リズミカルに点在させた。利用者が座って休憩・交流する場を提供するとともに、歩く楽しみをもたらしている。
食堂には、壁面いっぱいに大空を表現し、どこまでも無限に続く自由と平等を象徴した。
Works 作品
事業主 | 国土交通省 |
所在地 | 埼玉県和光市 |
設計デザイン | 国土交通省関東地方整備局、株式会社 久米設計 |
アーティスト | Barbara Nanning, 舟橋全二, 豊嶋敦史 |
施工 | 株式会社 鴻池組、三井住友建設株式会社、安藤建設株式会社、株式会社 奥村組 |
アートディレクション | 株式会社タウンアート(現 ArtPlace Inc.) |
撮影 | 株式会社タウンアート(現 ArtPlace Inc.) |