アール・ブリュットの作家が初めて挑んだパブリックペースでの展示が市民の感性を揺さぶります
Task プロジェクトの課題
調布市文化会館たづくりの1階エレベーターホールは、たづくりを利用する市民のみなさんが最初に立ち寄る重要な玄関口として位置づけられている。この玄関口でエレベーターを待つ隙間時間を活用して、現代アートを気軽に体験できる機会を提供することが本プロジェクトのミッションである。
第9期となる今回は、調布市が共生社会の実現に向け取り組んでいる「パラアート展」に関連づけ、アール・ブリュットの作家による作品展示が望まれた。子どもからお年寄りまでが往来する市民に開かれたエレベーターホールにおいて、アール・ブリュットの作家によるいかなる作品を展示するか、我々にとって大きなチャレンジとなった。
Solution アートプレイスの提案
アール・ブリュットは、正規の芸術教育を受けていない人が独特の方法を生み出して完成させたアート。近年日本発アール・ブリュットが、海外で高い評価を受けており、本プロジェクトで起用した与那覇も国内外で活躍する注目の作家である。
今回、与那覇の初めてのコミッションワークとなった2作品には、調布市とエレベーターからインスピレーションを受けた作家の考察と、世界の多岐にわたる事象、作家の周辺で起こった些細な出来事が絵と文字で表現されている。またカラフルなマーカーで描かれた画面からは作家の旺盛なチャレンジ精神と生きるエネルギーが溢れ出ており、訪れる人々に与那覇俊が表現する独特の世界観を鮮やかに伝えている。
国内ではこれまで、アール・ブリュット作品がパブリックアートとなる機会は限られてきた。与那覇によるプロジェクトを実現することで、アーティストの多様性のみならず、与那覇の作品に表わされるような多様な社会のあり方を伝えつつ、鑑賞者の感性を揺り動かすような場の創出を試みた。
Works 作品
壁面アート《有限内の無限 0=3》/ 《Infinity within finite space 0=3》|1F エレベーターホール
コンピューターは、30cmほどの小さな画面の中に、相当数の情報を含んでいる。
与那覇は、自身の絵画において、その限られた紙面にできる限り多くの情報を詰め込むようにさまざまな物や出来事を描きだす。世界情勢、自分の人生、ダリやダ・ビンチなどの西洋の巨匠の絵画、架空のヒーロー「調布マン」など、過去・現在・未来、現実と空想、自己と他者が曼荼羅のような空間の中で交錯する。
《有限内の無限 0=3》/ 《Infinity within finite space 0=3》
2023
鳥の子紙, マーカー, カラーペン
サイズ(原画) | 546×1062 mm, 546×936 mm
事業主 | 公益財団法人調布市文化・コミュニティ振興財団 |
所在地 | 東京都調布市小島町2丁目33-1 |
アーティスト | 与那覇俊 |
コーディネーション | 嘉納礼奈 |
撮影 | ArtPlace Inc. |
設置期間 | 2024年1月21日(日)まで |
詳細リンク | アーティストインタビュー (テキスト編) https://www.artplace.co.jp/information/yonaha_interview_text/ |